二拠点生活4年目で起き始める変化について
二拠点生活を始めたのが2014年の春。
この生活も今年で5年目に突入という計算になります。
そもそも都内の自宅と湘南(地方)との二拠点生活を求めたのは、「気分転換」としての日帰り遊びではなく、その土地へ「暮らす」ことがしたかったから。
ゲストハウスで自由気ままに行き来するのではなく、決まった場所で「お帰りなさい」と「行ってらっしゃい」が欲しかったから。
結果として選んだシェアハウスでの二拠点生活ではあったものの、都内での用事も多く、湘南地方での滞在日数はせいぜい月に1週間程度、土地を開拓するので精一杯だったのが最初の1〜2年。鎌倉〜逗子方面にお友達が増えて、土地の仲間としてのお誘いのお声がかかるようになった頃。
昨年、娘が大学に入学したことをきっかけに私の逗子での滞在日数が激増、活動も活発になり、遊びだけでない土地に根付いた活動のメンバーとして声をかけてもらう機会も増えてきた。
そう、「暮らし」を求めて行動していると、二拠点とは言え、3年経つうちには自然と変化は訪れてくるものなんですね。
「おけの会」もその一つ。
おけの会とは、古来から日本に伝わる森羅万象、宇宙、自然界、全体性、身体についての伝統的な価値観を、日本の神話や神道などから身近に楽しむ機会を鎌倉・湘南から発信していこうと立ち上げた会なのですが、私は、偶然が重なり、その発起人メンバーの一人として運営に関わることになったのでした。
そして、昨年11月19日(日)、メインゲストとして能楽師の安田登さんをお招きして「おけの会」の第1回を鎌倉の長谷能舞台で開催することができました。
安田さんは、能楽師であられながら日本の神話、世界の神話にも大変お詳しく、お話が本当に面白くて、お声も色っぽく(笑)、ずーーーーーっとお話を聞いていたくなる魅力の持ち主でありました!
安田さんの講演と古事記の朗唱、それに合わせたダンサー野口あきさんの舞、チェロ奏者新井みつこさんの演奏というコラボは本当に素晴らしかったです。
安田さんによる「天の岩戸開き」解説を超ざっくりまとめると以下の感じ。
天照大神が岩戸にこもる
↓
アマノウヅメノミコトが舞い踊る=八百万の神々が笑い喜ぶ
↓
【変化の一点】が起こる ←← ココ大事。
↓
神々が、「あはれ、あなおもしろ、あなたのし、あなさやけ、おけ!」と叫ぶ
*蛇足ですが、「おけの会」の「おけ」は、ここから命名
古事記には、「笑う」は「咲う(わらう)」と書かれてあるそうで、「笑い」は「割る」、「咲く」は「割く」に通じ、暗から明に移る「変化の一点」を「花」と呼ぶそうです。(花は「クサカンムリ」に「化」と書くのもその意味)
「笑い」と「変化」は共時的なんですね!
安田さんは「変化」について世阿弥の「初心忘るべからず」を引用され、その真意を「人はどんなに年をとっても成長できるのだから、過去の自分を断ち切り、変化を恐れず時々のタイミングで自分を変化させよ」と説いてくださいました。
(初心の「初」は「衣編に刀」と書くように、着物を作るためには布を裁ち切らないとならない。まっさらな布にハサミを入れる勇気と覚悟を持つ様に、過去の自分をどんどん断ち切って変化せよ)
二拠点という暮らし方は、ともすれば軸足がどちらにも無いようにも思われるかもしれないけれど、どちらの場所でも「暮らす」を求めて関係を紡いできたこの4年間。
笑い、喜び、悦びを大事にしているうちに、変化(花)が起こった3年目の去年。
娘が大学に入学したのは大きなタイミングの一つだったと思うけど、折々で過去の自分を断ち切り、自分を変化させ続けることで、自分らしい「変化の一点」は起こるのだなぁと。
目に見えることは何も変わっていないようでいて、見えないところで変化は起こっていることを心に留めて、「笑い」と「初心」で軽やかに変化を起こし続けていける自分でありたい。