しとしと雨が降る森で五感を一昼夜開放して得られる事。

先日、森に籠ってきました。

と言っても、わずか1泊なんですけれどもw。

私が自然に触れるのが好きなのは、心を穏やかにする自然の感覚が、他ではなかなか得られないと感じているから。

海〜森〜山。

どれもそれぞれに良さがあって、いつもたくさん遊んでいるけれど、森でのリトリートには一度参加してみたいと思っていた。そしたら、友人がそのようなツアー企画している事が判明し、なんと、「ビジネスマン向けプラン」(午後から始まり翌朝に終了)を企画中と言うではないですか。

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早速トライアル参加してきました。

森のリトリートで大事な事は、時間の経過と共に暮れ行く森に身を浸し、五感を穏やかに解放させながら暗く深い夜の森で自分に向き合い、そしてたき火を囲みながら人と対話して感じた事を共有し、さらに想いを自分に還元していくこと。

そのためには本当は2泊3日位は必要なのですが、忙しい現代人にとってその時間を取るのって、結構難しいですよね。

今回の午後集合〜翌朝解散する平日プランは、仕事を初日の午後と翌日の午前の二つの半休を取ることで、平日に静かな夜の森を彷徨い、さらに朝の森も散策できるのでおよそ一日近い森の変化を体験できる事が可能になります。忙しい人にとって非常に効率的なプランというところでしょうか。

場所は、車で相模湖ICから30キロ、45分くらいの所にある道志村キャンプ場、ネイチャーランド オム

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今回はキャンプ場内の茅葺き古民家を拠点として森と行ったり来たり。

江戸時代の古民家を移築・再生したそうですが、縁側、囲炉裏や高い天井が気持ちよいです。

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思い切り風が抜ける造り。ゴロンと寝転がって見上げる天井の趣が素晴らしい。

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今回のツアーを企画してくれた河村さんとネイチャーガイドの難波さん。

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f:id:coconots9:20150709121313j:plain難波さんは、歩きながら葉っぱ、木、虫のことを楽しそうに話してくださるのです。

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最初は舗装された道ですが、どんどん道なき道になっていく。

いろいろな所で立ち止まりながら、森の植物や生き物についておしゃべりして下さいます。森には知らない事がいっぱい。発見がいっぱいなんだなー。

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梅雨。しとしと雨のおかげではっぱの緑が瑞々しい。

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空を見上げると、さまざまなグラデーションの色が重なり合っているし。

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地面には、苔むした切り株に落ちた種が芽を出していたり、

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まるで、ディズニーの白雪姫のワンシーンに出てきそうな色と形のキノコも。

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みんなが手で挟んでいるのはアブラチャン。

精油・アロマウォーターで知られるクロモジ科で、葉っぱを手でこするとほのかに良い香りがするのです。

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実をすこし削ってみると、柑橘系がわかりやすいスッとした香り。

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ここはワサビ棚。清流がどんどん流れている所でおいしいワサビは育つんですね。

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新芽と旧芽の色のコントラスト。

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フタリシズカが群生している地面は落ちた杉の葉っぱでふかふかしている。

歩いていてとても気持ちよい。

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子どもの頃は気づいていなかったけれど、あの頃は本当に五感をフル回転させながら遊んでいたなぁと、今ごろ気づく。

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誰にも、何にも制限されずに遊んでいた自分が確かにいた。

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しばらく歩いてたどり着いた所がなんとも心が落ち着く場所。

みな、思い思いに、好きなように過ごす。

みなと同じ景色を見る必要は全くなくって、ただ、ぼーっとする。

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どのくらいの時間そこにいたのかな。

地面に生えている細い葉に当たる雨音までクリアにはっきり聞き取れるようになった頃、そろそろ日の入りになってきた。

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日の入りは19時。

そこから約30分ほどかけて、森はどんどん夜になっていく。

真っ暗な森を歩くなんて滅多にない体験。

そして、真っ暗な森で、草の上にゴロンと寝転がってみる。

ヒンヤリした地面に背中をぴったりくっつけていると、自分が大地としっかり繋がっている感じがする。

 

種は落ちた所の環境が整ったら芽を出すし、虫はその新芽や実を食べる。

その虫や実を食べに渡り鳥はやってきて、鳥に食べられた実は遠くまで運ばれる。

多様性でいっぱいの森を歩いていると、「自然」って本当にぜんっぜん頑張ってないんだなぁって思う。

古民家に戻って囲炉裏に薪をくべ、たき火を焚いて、食事をしながらいろいろおしゃべり。森の中で感じた事を特別に語り合う事はしなかったけれど、それぞれの心に感じたものはあったはず。

 

翌朝4時半。

いっせいに鳥がさえずり始めたのか、日の出と同じ頃に目が覚めた。

薄明薄暮性というらしいけど、ちょうど日が明ける頃と暮れる頃にいっせいに活動する昆虫や鳥たちがいるらしい。

朝の森に散歩に出かける。

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昨日と同じ場所を歩いているのに全然違う場所に思えたりして、それも面白かった。

 

鮮やかな葉っぱの色のグラデーションを見て、鳥の鳴き声や杉の枝を踏みしめる音や川のせせらぎの音を聞き、木の枝、葉っぱ、雨や空気の匂いを嗅ぎ、まろやかな水の味を舌で受け止め、肌にあたるそよやかな風や背中に伝わる地面の冷たさを感じた森の一昼夜。

自分だけがその瞬間に見られるもの。それこそが大事な景色で、あ、自分は今ここにいる、と気づく事。そこに価値を見つける事こそが大事なんだと感じた時間だった。

 

この企画の基本は企業・職場向け展開とのことですが、家族や友人同士などでも人数が揃えばカスタマイズ開催もあるそうです。

人それぞれこの体験を通じて感じることは違うと思うけれど、それを超えた何か大きなものを共有できるようになると感じます。

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