追悼松谷みよ子さん。大人になった今こそ読みたい龍の子太郎
松谷みよ子さんが亡くなられました。とても、残念です。
松谷みよ子さんと言えば、「ちいさいももちゃん」から始まる名作シリーズや絵本「いあいいないばぁ」そして「龍の子太郎」がすぐに思い浮かぶことと思いますが、何を隠そう、私も小学校時代、松谷みよ子さんの物語で育ちました。
ももちゃんシリーズは面白かったなぁ。
何度も何度も繰り返し読んだなぁ。
それぞれ記憶に残るけれど、やっぱり深く刻まれているのは、靴しか帰ってこなくなったお父さんと死神においかけられるお母さんのクダリ。宿り木の意味は、読んだ当時はあまり理解できていなかった。すごく時間が経ってからある瞬間に「あ、あれはそう言う事だったのか。」と腑に落ちた記憶が。
美味しいスープを作ってくれる森のくまさんにあかねちゃん、タッタちゃんにタアタちゃん。クロネコのぷぅに恋人のジャム。ジャムは確か、真っ白なトーストにイチゴジャムをうすく塗った様な色をしてたんだよね。
どうしてももう一回読み直してみたくなり、実家に一式揃ってるはずと思って探しに行ったけれど見つからなかった。
きっとどなたかに差し上げてしまったんだろう。
改めて、自宅の蔵書棚に持ち続けている「龍の子太郎」を取り出してみる。
本を開いてちょっと驚いたのは、表紙めくって目次の前にこんなメッセージの頁が。
もちろん印刷ですが、当時出版された本には、通常、このような手書きメッセージがあったものなのでしょうか。昭和41年第66冊発行の一冊なのですが。
本のストーリーについては今更改めて触れませんが、改めて読みなおして、やはりぽろぽろ泣いてしまった。
龍の子太郎が力と知恵を身につけて行く様と、彼が心から強く願った皆の幸せについて。
大人の皆さんに今一度是非読んで頂きたい長編童話。
そして松谷さんの言葉選び。
あや、という女の子が登場するシーンの
やがてすがたをあらわしたのは、いちごの実のようにいとしげな、小さな女の子でした。
龍の子太郎がヒントをもらいに訪ねて行った先で出会ったヘビが登場する
と、そのときです。ぬまははじめてとろりとゆれて、大きくもなく小さくもない白いヘビが一ぴき、すがたをあらわしました。
とか、
白いへびはそういうと、つぶりとぬまへしずんでしまいました。
とか。
そしてひょいとかつぎ、どんすこ、どんすこ、山のほうへあるきだしました。
の表現には、まさに冒頭の松谷さんのメッセージ「このへんを龍の子太郎がどしどし歩いていったんだなっ」という様を想像できるようになる。
龍の子太郎は、お湯のようななみだを、ぼろぼろこぼしました。
では、龍の子太郎の心の熱さがひしと伝わってきます。
もう、ページをめくるのが惜しいくらいです。
また、挿絵もとても愛嬌があって愛らしくて。
鬼たち。可愛すぎる。
龍の子太郎とどうぶつたち。
ここらへんは、ジブリにも使われそうな空を飛ぶシーン。
「ああ、見せたいなぁおかあさんに、・・・」
うぅ、泣ける。。
改めて、
やはり、名作というものは、全てにおいて手抜きがないからこそ名作なのだなー。
そして、最後の
みなさん、およみになった感想をお知らせ下さい。
このあと、どういう本を出したらよいのか、参考にさせていただきます。
の一文。
これは絶対本気でおっしゃってる言葉ですよね。だって、それはあとがきを丁寧に読めばわかるから。
反省。
・・・あぁ、私はこの本が大好きで大好きで、何度も何度も繰り返し読んだにもかかわらず、松谷みよ子さんに感想のお手紙を送らなかった。
子供の感想だったら、きっとどんな一言でもよかったはずなのに。
改めて、心からご冥福をお祈り致します。